上田龍成×ヤギハツマ 札幌オーギリング休止前 スペシャル対談
札幌オーギリングゼネラルマネージャー・上田龍成が、旗揚げ二戦目から参戦するミュージシャン・ヤギハツマと対談を行なう。
札幌オーギリングのこれまでと今、そして、これからを語るスペシャル対談をウェブサイトにて公開。
上田:今回、この2人で対談ですって。で、この対談は初のウェブ掲載を考えています。
理由としては「休止します!」って言ってから公の場でキチンと言ってなかったので。
ということでよろしくお願いします!
ヤギ:よろしくお願いします!
上田:まず、なんで対談の相手としてヤギを選んだ理由を言ったおいた方がいいと思うんだけど。
ヤギ:その方が気が楽になると思います(笑)逆にプレッシャーになるかもしれないですけど。
上田:(笑)あのー、オーギリング初期のメンバーじゃないですか。
ヤギ:そこどうなんですかね。厳密にいうと初期メンバーではないじゃないですか。
上田:旗揚げメンバーじゃないけど、初期のメンバーだね。
ヤギ:俺が最初出た興行は、本興行として1回目ですか?
上田:2回目。旗揚げの次。だいたい俺の感覚でいうとラフアウトラウド(※2014年九月興行)までに参戦した選手は初期メンバーって感覚。輔さんとか、大喜利ロボット1号、さとしん博士とか。
ヤギ:なるほど。
上田:で、初期メンバーでほとんどの人がインタビューを受けてたりするんです。ただ、ヤギだけが選手で唯一インタビューを受けてないっていうのと、休止の理由を含めて単純に俺がヤギと話したいなっと思って。
上田:そもそもオーギリング出るキッカケって何?
ヤギ:それは、上田さんですよね。
上田:まぁ、そうだよね(笑)
ヤギ:おかめの三角フラスコっていう劇団のお芝居に出て、そこに映像スタッフとして上田さんがいて。そしたら6月くらいに突然ツイッターでお誘いのDMがきて。俺、即答でOK出しましたよね?
上田:OKだった。スケジュールも含めて即答だったね。最初、オーギリングのオファーきてどうだった?
ヤギ:あの時っておにぎり被って半年くらいなんですよね。
上田:意外とすぐだったんだね(笑)
ヤギ:おにぎり被ったのが1月で、3ヶ月くらいやって。「あれ?くるかも!?俺!?」って感じで。
上田:「アイツ、ずっとおにぎり被ってんな」みたいなね。
ヤギ:で、4月くらいにライブの本数が増えて、CDを出して、お芝居に出たりして一気に活動の幅が広がったんですよね。それで色んな界隈のお客さんが有難いことにすごく増えて。そんな時期だったので、すごくいいタイミングではありましたね。
上田:お笑いとか演劇のお客さんが集まる場に出れるわけだからね。
ヤギ:でも札幌のお笑いの事とか何も知らないし。どうなるんだろうと思いつつもオモロそうだから出てみたって感じですね。基本面白いと思うことを選ぼうと思っているので。
上田:で、出てみてどうだった?
ヤギ:出てみて、自分の事を言うと1回しか答えてなくて。回答自体は悪くはなかったんすよ(笑)
上田:悪くなかったね。
ヤギ:でも試合の回答順が三上、俺の順番で。三上が出した段階で「勝てなッ」と思って出しましたけど(笑)
上田:で、その興行以降、ずーっと出続けてるじゃん。実際どう?このオーギリングってライブに出続けてみて。
ヤギ:自分に関しては、アニメだろうとドラマだろうと主役がいないって面白いと思っていて。でも、いっつもいる脇役がいないと成り立たなくなるっていうのあるじゃないですか。
上田:分かるわぁ…分かる。
ヤギ:戦隊モノでレッドは突然敵になったりとか、失踪したりしても成立するんですけど、それをグリーンがやっちゃうと…俺でいうとピンクがやっちゃうと(笑)バランスが取れなくなっちゃうから居るだけでいいのかなって思ってますね。
上田:俺、ヤッターマンとかの「タイムボカン」シリーズが好きで。その中で三悪って言われるポジションのキャラが必ず出てきて。あの安心感ってすごいあるんだよね。長いスパンでやる上では、善悪問わずそのポジションってすごい大事だと思う。
ヤギ:俺はオーギリングのメインストリートに立たないタイプだと思うんです。そこに関しては純粋に実力の話もあるし。そこを「実は出たかったんですよ!」っていうのも無いんですよ。
上田:かと言ってオーギリングを舐めてるとかそういう事じないよね?
ヤギ:舐めてはいないです。
上田:それは分かる。
ヤギ:でも不思議なのは、オーギリングのメンバーの中で誰よりもソロで動いてるの俺なのに、集団に入るとこういう風になるんだろうっていうのはありますね(笑)バンドやる時もドラムだし。目立ちはするけど、センターにいかないタイプっていうか。(笑)
上田:学生時代からそう?
ヤギ:部長にならずに力を持ってるタイプでしたね。でも、それって根本的な俺の自信の無さから来てんだけど。
上田:…自信ないの!?!?
ヤギ:俺、全ッ然ないっすね。
上田:あ、そうなの!?全然そんな風に見えてなかった。
ヤギ:自信があるように見せる努力が得意なんです。
上田:あー、でもそのハッタリは大事だよね。
ヤギ:ステージに立つ人間は見栄はってナンボだと思ってるんで。自分の事を好きではあるんですよ。でも、それと自信は別だから。どう考えても俺より大喜利面白い人はいるし、俺よりいい音楽作れる人はいるけど、俺は自分が一番好きだから…っていうのはありますね。
上田:オーギリングを三年半やってきて印象的な試合とかってある?
ヤギ:俺は間違いなく、アキト・すえひろ・輔さんの馬鹿お題ですね。(※2015年十一月興行「ドリームゴーラウンド」)なんて言うのかな、観ててスゴくバランスが良かったんですよ。対決になってるけどみんなのびのびやっていて、しかも最後は若干アキトに勝ってもらいたいっていう流れがあって、最後それでストンと終わるっていうのがキレイだったなーって。純粋に試合も面白かったし。そういう面でもスゴく良かった。
上田:しかもその試合ヤギはセコンドで観てるしねー。
ヤギ:そうなんですよ。
上田:あの試合の最後の「ゴング!」の瞬間の空気ったら無かったね。
ヤギ:会場全体がココでゴングです!っていう。あれは氏次さんの力もあるけど。
上田:あれは全部がハマった試合だったね。すえひろが選手も含め全員に認知されたのは、あの試合だったし。今のオーギリングの流れもあそこにはあるかもね。ちなみに、ヤギが自分が出た試合で印象深い試合ある?
ヤギ:自分が出た試合で記憶に残ってるのは3つあって、1つはGJさんにボコられた試合。
(※2014年十二月興行「エキサイトクエスチョン」)
上田:あー、そっちなんだ。
ヤギ:手も足も出ねぇっていうのはこういう事を言うんだなって。あのステージに立ってた俺と三上とさとうくんはお客さんを楽しませるっていう意識がゼロになってたんで。もう嫌だみたいな(笑)だって三上が「負けたじゃん」って舞台上で言って(笑)
上田:形式がクロスワード式だったから、試合結果が途中で分かるからね(笑)
ヤギ:あれはステージに立つ人間として終わってる流れだったなって。
上田:あの試合がきっかけで38万パワーズがテーマとしている「楽しい大喜利」っていうものが生々しくなったなって思ってて。「楽しくない大喜利」だったじゃん、アレって(笑)そういうダメな例が出たのが38万パワーズのカラーがより出る理由になったなって気はしている。
ヤギ:2つ目は教文小ホールで、さとうくんとアキトが戻ってきた試合。(※2016年特別興行「オーギリングマニア」)あの試合は超楽しかった!ちょっと込み上げるものがありましたもん。短い期間だったけど、チームとしてやってた意味はあったなって。そして、3つ目は俺と三上がひたすらウケた回。(※2015年十一月興行「ドリームゴーラウンド」)
上田:2対5で増殖2号と戦った試合ね。
ヤギ:俺と三上が出す答えは毎回ウケるっていう。
上田:あれスゴかったね。あの試合は三上も好きな試合として挙げてる。
ヤギ:あれは気持ち良かったです。絶対ウケると思って出した答えがウケるって状態だったんで。あの時は選手として盛り上げてる!って実感があった(笑)
上田:ヤギが俺に聞きたい事ある?
ヤギ:すごいリアルな話なんですけど、オーギリングに出てる人って二つに分かれると思うんですよ。オーギリング以外にもステージがある人とオーギリングしかない人。そこの熱量の差を俺はスゴく感じていて。で、これから言う事はオーギリングに対してスゴい失礼な事かもしれないんですけど、俺は結構な割合で自分のライブがあって、違う活動もしてたり、仕事してたりっていうのがあって。だから俺の生活の中でオーギリング割いている割合はそこまで多くないんですよ。でも、中にはオーギリングがほぼ全ての人もいて。それが原因で一線を越えてる時があるんじゃないかって。それに関してはどう思いますか?
上田:それに関しては良しとしている方かも。それを強く思ったきっかけは、喰魔骸&菊池 対 アルト&佐々木のタッグ選手権試合で、王者が引き分けで防衛した時。(※2015年十二月興行「ウィニングクエスチョン」…惜敗し、感極まった佐々木さんが舞台上で落涙した)俺は舞台上で演者が泣くっていうのは悪では無いと思っていて。ただ、その後の見せ方かな。「舞台上で起きた事」と「プライベート」っていうのは線引きはつけないといけないよなぁとは思っているよ。
ヤギ:その線引きで絶対出しちゃいけない部分ってあると思うんですよ。さっきも言った通り、ステージに立つ以上、見栄を張り続けないといけないと思っていて。ダサく見えちゃいけないというか。正直、俺、試合に負けても全体の流れが良ければ全然気にならないんですよ。
上田:試合結果に関しての真剣度は、選手によって違いがあると思う。言葉を選ばなければ、大人げなさというかムキになる感じというか、別に悪い事じゃないと思うけど。でも、それの見せ方で、オブラートに包まないといけない部分はあると思っていて。それが得意な人、不得意な人っていうのは絶対あって。だから変な話、大喜利観たければ他のライブでいいと思ってるんだよ。うん。結局、オーギリングって、バラエティ番組というかそういうのに近いと思っていて「大喜利ライブ」っていう線引きが出来るものではないと思っていて。だからこの先、またオーギリングを再開する時、そこが一番大事になってくるかなという気はしている。
上田:三上とすえひろについてどう思う?
ヤギ:三上とすえひろは…完全に個人の気持ちをいうと、どっちも可愛いから、なんかもう…
上田:(爆笑)三上とすえひろで可愛さの質は違う?
ヤギ:違う!俺の中で面白いのはすえひろなの。でも三上はなんだかんだで3年間タッグ組んでるから。
上田:アルト佐々木タッグは今は組んでないから、現役タッグの中では一番歴が長いタッグだね。
ヤギ:タッグとしては結果残せてないけど、答え書いててイチャイチャするのは三上が一番楽しい(笑)最近、三上も普通に懐いてくれてるし、まぁ正直どっちにも頑張ってほしいかな(笑)上田さんは三上とすえひろどう思います?
上田:(最初は)三上の期待が高かったんだよ。ダークマッチでのデビューの時もそうだし、初めて革ジャンで赤いスカーフで入場した時、お客さんから黄色い声援が飛んだんだよ。それを見て、これはオーギリングの絶対的エースになる!って思って。俺の中では「新日本プロレスの棚橋だ!」って思って(笑)これは看板選手になるぞ!って思ったら、おやおやおや???ってなって(笑)
ヤギ:そうなんですよ。でもおやおや?って思ってる頃にめっちゃ面白い時があったりするんですよ。やるやん、三上って時があるから。
上田:そうなんだよ。ダメな時はあるとは言え、ずっと第一線ではあったんだよ。ただ、すえひろに関してはド底辺から始まってるわけだよ。例えば、ダークマッチ勝ち上がったらチャンスがある時も負けちゃったりして。そこからだいぶ低空飛行してようやくパンって浮かび上がったのがスケッチポッチあたりで。
ヤギ:うんうん。
上田:で、アキトの卒業試合でブレイクして。そっからの追い抜かし方がスゴかったから、2人の違いを俺はすごく楽しんでいて。だから休止前興行として、あの2人のカードが組めて良かったなぁと思っているよ。三上、トーナメント勝ち抜けて良かったな。
ヤギ:良かったホントに。あのトーナメント、俺、見れてなくて。
上田:そうだ思い出した!!ツイッターでオーギリングの試合速報を流して一番最初に「いいね!」をつけたのがヤギで。ずっと気にしてたんだなって思って(笑)
ヤギ:すげぇ気にしてましたわ!(笑)そのへんでなんだかんだで言いながらもオーギリング好きなんだなって思いました(笑)でもやっぱりガチになり過ぎてる時がどうしてもモヤモヤしちゃうんですよねぇ。
上田:これはねぇ。再開する時にスゴい重要だと思っていて。俺がやりたいのはあくまでもプロレスなんだよ。それは八百長とかそういう意味合いではなくて。ヤギがさっき言ってたように、プロレスは勝敗じゃなくて試合内容がすごく重視される。ただ、いわゆる総合格闘技っていうのは結果が全てで。そういう大喜利ライブって他にあんじゃん、テレビでも大手でも。俺は別に格闘技がやりたいわけじゃなくて。ただ、俺はヤギと違ってそのガチさが良い方向に作用する時も絶対あって。三上が最後の挑戦者を決定するトーナメントをあそこまで必死に勝ち抜いたのは、すえひろに僅差で負けたからなんだよ。(※2017年6月 三周年興行「オーギリングマニアⅡ」…選手権試合で三上が1ポイント差で敗北した)一切やってないけど、もしあれが八百長で三上がトーナメント勝ち抜けるなってたら、勝ち抜けられないと思うんだよ。俺はそこがオーギリングの面白さだと思っている。
上田:オーギリングが休止するって聞いた時、どう思った?
ヤギ:俺は全然賛成なんですよ。休止に関しては。ただ、よく上田さんは決断したなって思いました。
上田:そもそもオーギリングを始めた理由の一つが、お芝居とお笑いと音楽とか他ジャンルの演者の交流っていうのと、お客さんに別のジャンルに触れる機会を作りたいっていうのがあって。お笑いのお客さんがお芝居観にいったり。その逆も然り。そういう繋げることをしたいなぁっていうのを思っていて。それが2年経ったくらいにひと段落したと感じて。
ヤギ:落ち着いたというか?
上田:一つ達成したと思っていて。お客さんから、オーギリングきっかけで他のジャンル観に行ったっていう話もよく聞くようになって。じゃあ、その先どうするかってなった時に上手くいかなかったのかなと思っている。ただ、上手くいかなかったっていう理由で惰性でやってた事は一度も無いし、もっと言えば大喜利のクオリティは絶対的に磨かれていったと思っているよ。
――最後にこの対談を読んでくれた皆さんに一言お願いします。
ヤギ:休止をして、また、この後オーギリングをやるのかやらないのか分からないけど、それを抜きにして自分たちが面白いと思うことをやっている団体やイベントって、オーギリングに限らずいっぱいあると思うんで、観て欲しいなと。その中で僕らを選んでくれるのが一番嬉しいけど。普通に生きていて笑うタイミングってないんで、そういう場を提供してる人たち結構な数いると思うんで、ちょっと面倒くさいかもしれないけど来てくれたら楽しませてくれる人はいるよって所ですかね。うん。
上田:あのー、休止って判断にマイナスな印象を抱く人もいると思うんですけど、俺はすごくポジティブに捉えていて、別にオーギリングの形じゃなくてもやれることは多々あって。あとはヤギが言ってたオーギリングでしか見れない人たちと一緒に色んなことをしたいと思っている。本当にいつになるか分からないけど、オーギリングが復活するってなった時はこの3年5ヶ月がバックボーンとしてある状態なんだよ。映像素材とか、パンフレットやデータから何から何まで。そのバックボーンがある上で復活できるんですよ、これって滅茶滅茶スゴいことだと思っていて。
ヤギ:強くてニューゲームみたいな。
上田:そうそうそう!(笑)その上で言うと、今までオーギリング観たことない人も休止興行だけ観ておけばこの3年5ヶ月にちょっとでも触れれるんじゃないかなって。もちろん、復活する時も観て欲しいと思うので、休止興行を観て欲しい。それと、諸々の兼ね合いで観に来れない人ももちろんいると思うんだけど、そういう人はこの3年5ヶ月を踏み台にして更に面白いものをできるのを期待して待っていて欲しいと思います!